最近、外国人観光客が戻ってきた印象だけど、夜の街を歩くとまだ、飲食店の活気は戻り切れていない印象だなぁ・・・
コロナ前まで行きつけだったお店がなくなっていたり、早じまいしたりするお店も増えて、以前より使い勝手が悪いのよね・・・
など、いろんなカタチで人手不足を実感じている人は多いのではないでしょうか。
コロナ禍が終わりに近づき、世界が徐々に新たな日常に適応し始める中、企業における人手不足の問題が深刻化しています。
リモートワークやテレワークの拡大で働き方が大きく変化したことや、コロナ禍により一部業種ではリストラが相次ぎ、人材の流動性が高まっていることが背景にはあります。
人手不足の問題は、特定の業種や企業規模に限らずに幅広い範囲で影響を及ぼしており、このままですと、企業の成長機会や消費創出の場が失われるリスクがあると言わざるを得ません。
この記事では、正社員・非正規社員の不足状況や業種別の人手不足と過剰感、そして今後の対策と課題について詳しく解説していきます。
FP1級の資格や社労士の資格を持ち、経営コンサルタントも行う金融のプロが分かりやすく解説します!
東京商工リサーチによるアンケート調査
東京商工リサーチが2023年に実施した「人手不足」に関するアンケート調査結果を、まとめてみました。
順を追って、内容を見ていきましょう!
調査の概要
2023年4月3日~11日にかけて、東京商工リサーチは企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施しました。
この調査では、正社員と非正規社員の不足状況や業種別の人手不足と過剰感について調査し、有効回答4,445社から得られた結果を分析しています。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義しています。
正社員不足の現状
正社員不足の現状について、その概要を下記にまとめました。
大企業の正社員不足
調査結果によると、大企業では「正社員が不足」と回答した企業が7割を超えており、構成比は73.2%に達しています。
これは、大企業が高い採用意向を示しているものの、十分な正社員の確保ができていないことを示しています。
中小企業の正社員不足
中小企業においても、正社員の不足感は広がっており、全体で66.5%が「正社員が不足」と回答しています。
これはアフターコロナの動きと同時に、人手不足感が企業規模に関係なく広がっていることを示しています。
非正規社員の充足度合い
非正規社員の充足度合いについて、その概要を下記にまとめました。
業種別の非正規社員充足度
非正規社員の充足度合いについて聞いたところ、全企業で「充足している」と回答した企業が約6割(57.5%)で、正社員に比べて不足感は薄いことが分かりました。
業種間の二極化
ただし、業種によっては非正規社員の充足感が二極化している傾向があります。
飲食店、宿泊、サービス、道路旅客運送などの業種では、非正規社員の不足感が強く、今後インバウンド需要が本格化することで、人手不足の傾向がさらに強まることが予想されます。
一方で、印刷関連業界や編集プロダクションなどの映像・紙媒体の制作、広告、繊維・衣服卸売業界では、正社員・非正規社員ともに過剰感が強いという結果でした。
運送業では正社員の人手不足が深刻であり、観光バスやタクシーなど道路旅客や貨物・物流業者のトラックドライバーや有資格者の充足を求める声が相次いでいます。
また、飲食、宿泊、娯楽、サービス業界では、正社員・非正規社員ともに、半数以上の企業が人手不足を訴えています。
このような業界間の人手不足と過剰感の固定化は、企業の成長機会や消費創出の場を失う恐れがあるでしょう。
そのため、企業や業界単位ではなく、過剰感のある産業から需要や成長余地のある産業への雇用支援を図るなど、官民を挙げた実務的な対策が必要になってくるでしょう。
コロナ後の労働市場は、業種や企業規模によって正社員・非正規社員の充足度合いや不足感が大きく異なるなぁ・・・
なかなか難しいですが、今後の雇用対策は、これらの業界間の格差を解消すること施策が求められるでしょうね。
業種別の人手不足と過剰感
業種別の人手不足と過剰感について、下記にポイントをまとめました。
業種ごとに特徴を確認していきましょう!
慢性的な人手不足の業種
- 運送業
観光バスやタクシーなど道路旅客や貨物・物流業者のトラックドライバー、有資格者が慢性的に不足しています。
運送業界は労働集約型であり、人手不足は業界全体の成長を阻害する要因となっています。 - 飲食・宿泊業
特に、行動制限が解除された後客足が回復する一方で、採用難が悪化している状況です。これにより、サービスの質が低下し、経営にも影響を与えています。 - サービス業
正社員・非正規社員ともに、半数以上の企業が人手不足を訴えています。コロナ禍後の消費回復が進む中、十分な人員を確保できないことが、業界の競争力低下につながっています。
過剰感のある業種
- 印刷関連
正社員・非正規社員ともに過剰感が強い状況です。長期的な需要減少やコロナ禍による催事の減少、ポスティング自粛などが影響し、受注環境が悪化しています。 - 映像・紙媒体制作・広告業
正社員の過剰感が強く、デジタル化の進展により、紙媒体に対する需要が減少しています。これに伴い、業界全体で人員調整が求められています。 - 繊維・衣服卸売
大手を中心にリストラが相次ぎ、人流の回復後も業界全体の回復が難しい状況です。また、トレンドや消費者ニーズの変化で、需要の不確実性の高まりも過剰感に拍車をかけています。
人手不足と過剰感の固定化
人手不足と過剰感は、それぞれの業種が抱える問題が根本的に解決されない限り、固定化されるでしょう。
特に、慢性的な人手不足の業種では、長時間労働や賃金の低さなどが働く人の離職を招く悪循環になっており、改善が急務となっています。
一方、過剰感のある業種では、デジタル化の進展や市場ニーズの変化に対応することが、業界の再構築や雇用環境の改善につながります。
各業界が自らの課題に取り組むことで、人手不足と過剰感のバランスを取り戻すことが求められるでしょう。
規模の大きな話だから、各業界内だけの努力だけでは、問題の解決は難しい気がするんだけどなぁ・・・
実際問題として、政府が政策を打ち出すなど積極的に介入しないと解消するのは難しそうですね・・・
今後の対策と課題
人手不足に対する今後の対策と課題について、下記にポイントをまとめました。
ポイントごとに、一緒に内容を見ていきましょう!
企業の成長機会と消費創出の場の喪失リスク
人手不足や過剰感が続くことで、企業の成長機会が失われるリスクが高まり、特に、労働集約型の業界では、人手不足がビジネスの拡大や新たなサービスの提供を妨げることがあります。
消費者のニーズが高まる一方で、過剰感がある業種では、消費創出の場が喪失する可能性があり、対処するためには、企業が柔軟に労働力を確保し、市場ニーズに対応できる戦略が必要です。
官民を挙げた実務的な対策の必要性
人手不足と過剰感の問題を解決するためには、官民が連携し、実務的な対策が求められます。
政府は、労働市場や教育制度の見直して、労働力の適切な配分を促す政策を策定する必要があり、企業は労働環境の改善や働き方改革を推進し、生産性向上や離職率の低下に努めることが重要です。
具体的な対策として、技術活用や外国人労働者の受け入れ拡大、女性や高齢者の労働力活用、働き方改革の推進などが挙げられるでしょう。
さらに、業種間の人手の需給バランスを調整するために、職業訓練や再教育の機会を提供することも重要です。
これらの対策が人手不足と過剰感の問題を解決し、持続可能な労働市場を実現するためのポイントになるでしょうね。
政府が主導して各業界と連携を取りながら、施策を打ち出したり働き方改革を進めていくのが大事になるでしょうね。
よくある質問
コロナ収束後の人手不足問題について、気になる質問をまとめました。
- 人手不足になることでの、具体的な問題って何があるの?
-
人手不足が職場環境に与える影響を具体的に見てみると、労使ともに
- 残業時間の増加
- 休暇所得数の減少
などが挙げられます。
労働者では、働きがいや意欲の低下、また労働環境の悪化などがあるみたいですね・・・たしかにその通りだな
企業としては、能力開発機会の減少や、何よりも悪循環で離職者がさらに増えることが悩みの種ですね・・・
職場環境の改善で資金調達が必要なのに、銀行融資を断られて困った際はこちらをご覧ください。
- なぜ、こんなに人手不足になっているの?
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まずは高齢化によって、利用者の増加に対して、専門的な知識やスキルを持つ人材が圧倒的に不足しているからです。
また、建設業や運送業、接客業などは、労働環境のハードさや他業界に比べて給与水準が低いことも、人手不足に拍車をかけている大きな要因です。
提供しているサービスやスキルに対して、給与などの待遇が見合っていない、報われていないもの大きな要因ですね。
- 人手不足なのに雇い入れないところもある、なぜ?
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雇い入れたくても懐事情で雇えない会社もありますが、それ以外では、人件費を削減したいといった理由もあります。
人を雇うと、給与や保険、福利厚生など多くの費用がかかります。また、日本では従業員をすぐにクビにすることは基本的にはできないので、経営上のリスクが高いことも要因です。
この売上がいつまで続くか分からないし、何かの理由で売上が一気に下がる可能性もあるから、なかなかリスク高いんだよ・・・
まとめ
この記事では、コロナ禍終焉後の人手不足問題について、検証してきました。
東京商工リサーチによる調査から、正社員の不足が大企業と中小企業の両方に見られた一方で、非正規社員の充足度は業種によって大きく異なり、二極化が進んでいることが示されました。
業種別の人手不足と過剰感に関しては、運送業や飲食・宿泊業、サービス業などが慢性的な人手不足に悩まされています。
その一方で、印刷関連、映像・紙媒体制作・広告業、繊維・衣服卸売などの業種では過剰感が感じられ、この固定化は、企業の成長機会や消費創出の場の喪失リスクを高めています。
今後の対策と課題としては、企業は労働力の確保や市場ニーズへの対応が求められるでしょう。
また、官民が連携し、労働市場の改革や教育制度の見直し、労働環境の改善や働き方改革の推進など、実務的な対策が必要となります。
各業界内での試みと合わせて、政府が積極的に介入して業界間の人流が活性化するような施策を打ち出す必要がありますね。
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