建設業の倒産が増えてるらしいなぁ…ウチも不安だな
建設業の倒産が増えている理由は何なんだろう?
このような疑問や不安をお持ちの建設事業主の方も多いのではないでしょうか。
現在、建設業では倒産が急増しています。
「資材が来ない」「予算よりも価格が高い」「人がいない」という三重苦に陥る建設企業が増えていることが、建設業の倒産が増えている背景です。
何の手も打たないと企業財務が悪化し、倒産してしまう可能性があるため、企業努力を行うことは欠かせません。
こちらの記事では、建設業の倒産が増加している背景とその要因である「三重苦」について、詳しく解説していきます。
FP1級や社労士資格を保有して企業の経営コンサルなどを行っている私が、今後の展望を含めて解説していきます!
建設業の倒産増加の背景
2022年度の建設業の倒産は1,291件に上り、前年度から急増しました。
単月で見ても、2023年3月は約6年半ぶりに150件を超える急増傾向が鮮明となっており、建設業が苦境に陥っていることがわかります。
コロナ禍により商談が減少し、工事計画が遅れることになったことに加えて、国内外のサプライチェーンが混乱して資材の調達が困難になったことも大きな要因です。
さらに、政府はコロナ融資や資金繰り支援策を実施しましたが、支援が終了するにつれて経営状況が厳しい建設業者は倒産を免れなくなってしまいました。
また、建設業界は景気に大きく左右される特性があります。
コロナ禍における不景気のあおりを受け、経営基盤が脆弱な中小規模の建設企業は特に苦しんでいます。
確かに、知り合いの建設事業主も弱音を吐いていたなぁ
苦境を抜け出すためにも、速やかに手を打たなければなりません。
建設業界の「三重苦」とは
建設業界は「三重苦」に直面しており、何らかの手を打たないと市場からの退場を迫られてしまうでしょう。
以下で、それぞれの三重苦の要因について、詳しく解説していきます。
- 資材が来ないことによる工期の長期化
- 深刻な人手不足
- 資材価格の高騰
資材が来ないことによる工期の長期化
コロナ禍による商談減少や工事遅れが常態化し、工期が長期化してしまっています。
また、サプライチェーンの混乱から「資材が調達できない」という事態に直面する事業主も多く、工事が遅々として進まないことで収益を得られなくなってしまいました。
工期の長期化は、収益の遅れやコスト増加に繋がり、建設企業の経営を圧迫しています。
特に、中小企業は財務基盤が弱いため、資金繰りが厳しくなることで倒産に至るケースが増えています。
深刻な人手不足
建設業界は、建築士や施工管理者など専門的な資格を持つ人材が不足しており、深刻な人手不足の状況にあります。
人手不足は、
- 業務遂行能力の低下
- 工事の遅れ
- 受注件数の減少
- 労働コストの上昇
などを招き、企業収益を圧迫する大きな要因となっています。
さらに、若者の建設業への就業意欲低下や高齢化による労働力減少も、人手不足を加速させています。
実際に、2022年度の人手不足倒産全体のうち、4件中1件は建設業が占めています。
データ上からも建設業界の人手不足は深刻化ですね…
人手確保に苦しむ建設業者は、何としてでも人手を確保しなければなりません。
資材価格の高騰
国内外の経済状況やサプライチェーンの混乱に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で資材価格が高騰しています。
建設資材の価格が急上昇することで工事原価も上昇し、建設企業の利益が圧迫されています。
特に、中小企業は価格上昇分を転嫁できないことが多く、経営が苦しくなるケースが急増中です。
上記の「三重苦」は、建設業の倒産を押し上げる大きな要因となっていますが、大きく改善する見込みは残念ながら立っていません。
今後も建設業界全体で厳しい状況が続くことが予想されるため、しっかりと企業努力を行うことが重要です。
今後の展望
建設業界では今後も、国交省直轄工事ではじまった総合評価落札方式の「賃上げ加点」などをはじめとして、人手確保目的や賃上げ圧力に晒される状況が続くことが予想されています。
また、コロナ禍で多くの企業が導入したゼロゼロ融資の返済がピークを迎えることもあり、返済負担による経営圧迫が懸念されています。
今後の課題を認識した上で、しっかりと対策することが大切です。
- 人手不足の解消
- コスト管理の強化
- 業界再編の推進
人手不足の解消
人手不足問題に対処するためには、若者の建設業への就業意欲を高める取り組みが必須です。
高い技術を持っている熟練の労働者が離職する前に、技能伝承を促進することが重要です。
また、
建設業=男の仕事
というイメージを持っている人は多いですが、女性や高齢者、外国人労働者の積極的な採用を進めることも効果的です。
建設業に興味を持っている人を幅広く受け入れて、労働力の確保を図ることが求められるでしょう。
さらに、
建設業はきつくて辛い
という建設業界のイメージ改善や労働環境の改善も、人手不足解消に繋がるでしょう。
完全週休二日制の導入や残業時間の削減など、安心して働ける環境作りが求められているんですね!
業務を効率化するための最新技術の導入など、効果的な事業投資も欠かせません。
コスト管理の強化
資材価格の高騰に対処するためには、コスト管理を徹底して効率的な業務遂行を目指す必要があります。
また、デジタル技術の活用や建設プロセスの効率化を進めることで、コスト削減の効果が期待できます。
資材価格の高騰は避けられない以上、企業努力でコスト上昇を緩和する努力は不可欠です。
事業投資を通じて業務を効率化すれば、人件費の削減効果も期待できるでしょう。
業界再編の推進
中小企業の倒産リスクを軽減するためには、業界再編が不可欠です。
企業間の協力やM&Aを通じて経営基盤を強化し、競争力を向上させることが求められます。
また、新たなビジネスモデルや事業領域への進出も、業界の活性化に繋がるでしょう。
よくある質問
- 人手を確保するために職場環境を改善したいのですが、運転資金がありません。どうすればいいですか?
-
まずは、金融機関で融資を申し込みましょう。
金融機関で融資を断られてしまった場合は、ビジネスローンかファクタリングの活用がおすすめです。
金融機関よりも審査が緩く、最短即日で資金調達できる可能性があるため、相談してみてはいかがでしょうか。
- 今後も建設業界の苦境は続きそうですか?
-
残念ながら、苦境が続く可能性が高いでしょう。
ウクライナ情勢の長期化や慢性的な円安など、資源を輸入に頼っている日本にとっては苦しい状況が続きそうだからです。
しっかりと対策を行うことで、倒産するリスクを軽減できます。
- 人手を確保するために重要なことは何ですか?
-
若い人にとって魅力的な職場にすることが最も重要でしょう。
10年後には、建設関係の職人の不足が今よりも深刻化し、何も建設できない事態が懸念されます。
建設業界のイメージ改善や業務を効率化するためのロボット、3Dプリンターを使った業務の省力化が求められるでしょう。
まとめ
建設業の倒産が急増している背景である「三重苦」の内容や、今後の建設業界に求められる姿勢などを解説しました。
建設業界は日本のインフラを支えている存在である以上、衰退してしまうと日本の国土の脆弱化につながります。
- 人手不足の解消
- コスト管理の強化
- 業界再編の推進
具体的には、
- デジタル技術の活用
- 人材確保の工夫
- 労働環境の改善
- 新たなビジネスモデルや事業領域への進出
など、積極的な変革を進めることが求められます。
建設業界全体が連携して課題に取り組むことで、倒産リスクの緩和や業界の活性化が期待できるでしょう。
人手不足を解消するためにも、積極的に事業投資を行いましょう!