民間ゼロゼロ融資の返済が始まる…まずい
コロナ借換融資って聞いたことあるけど、どのような制度?
2023年1月10日から、新型コロナウイルス感染症の影響で債務が増大した中小企業者を支援するために、コロナ借換保証が始まりました。
民間ゼロゼロ融資の返済が本格化する事業主の返済負担を軽減しつつ、借換え需要や新たな資金需要にも対応する信用保証制度として、多くの中小企業主から注目されています。
経済産業省が主導して行っている「国の制度」で、安心して利用できる点が魅力と言えるでしょう。
こちらの記事では、コロナ借換保証の概要や目的、利用条件などを解説していきます。
FP1級や証券外務員一種資格を有し、融資手続きや審査の内情に詳しい私が解説していきます!
コロナ借換保証の目的と対象者
まずは、コロナ借換保証の目的と対象者など制度の概要を紹介していきます。
すべての事業主が利用できるわけではないため、前提条件から確認していきましょう。
- コロナ借換保証の目的
- コロナ借換保証の対象者・対象事業
- なぜコロナ借換保証の制度ができたのか
- コロナ借換保証の保証限度額
コロナ借換保証の目的
コロナ借換保証制度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者の収益力改善等を支援するための制度です。
- 民間ゼロゼロ融資に返済
- 借換え需要への対応
- 事業を拡大するための資金需要への対応
- 経済活動の継続を支援
- 雇用の維持
- 事業再建を支援する
上記のように、中小企業を財政の面から支援することを目的としています。
なお、コロナ借換保証を利用するためには
- 「経営行動計画書」を作成した上で
- 金融機関による継続的な伴走支援を受ける
上記の条件をクリアする必要があります。
出典:中小企業庁
コロナ借換保証制度を利用することで、既存の借入れをより有利な条件で借り換え、返済負担を軽減できます。
コロナ借換保証の対象者・対象事業
コロナ借換保証制度の対象者は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業や個人事業主です。
下記のように、売上が大幅に減少している事業主や業務継続が困難に陥っているる事業者が対象です。
出典:中小企業庁
対象事業は、違法行為や公序良俗に反する事業の除くすべての事業が該当します。
コロナ借換保証を利用することで、多くの中小企業や個人事業主が経営の立て直しや事業再建に向けて踏み出すことができるでしょう。
返済負担を軽減できるのは非常にありがたいです!
金融機関や信用保証協会とのコミュニケーションも大切にして、適切なサポートを受けられるようにしましょう。
なぜコロナ借換保証の制度ができたのか
2023年7月から2024年4月にかけて、新型コロナウイルス禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資を行う「民間ゼロゼロ融資」の返済が集中する見込みです。
返済負担が重くなると事業投資に回せる資金が枯渇してしまい、閉業・廃業に追い込まれてしまう企業が発生してしまう懸念があります。
廃業や閉業が増えると、生産力の低下や雇用の低下などにつながるので国にとってもマイナスが大きいのです。
そこで、民間ゼロゼロ融資や他の保証付貸付からの借り換えや、事業再構築にための運転資金を融資する目的で、新しい保証制度である「コロナ借換保証」が設けられました。
コロナ借換保証の保証限度額
出典:中小企業庁
コロナ借換保証は、上記のように1億円を限度に補償を行っています。
保証料率は0.2%低く、中小企業の負担が過重にならないように配慮されている点が特徴です。
まさに、中小企業や個人事業主を支援する仕組みですね!
返済が苦しくなりそうな事業主は、有効活用するべきでしょう。
コロナ借換保証制度を利用するメリット
コロナ借換保証を利用することで、返済負担の軽減などのメリットが期待できます。
現在の借り入れ負担が重い
と感じている事業主の方は、参考にしてください。
- 返済負担を軽減できる
- 保証料率の低減
返済負担を軽減できる
コロナ借換保証制度の最大のメリットは、返済負担を軽減できる点です。
- 返済期間が延びる
- 金利負担が軽減される
- 5年以内は利息の返済だけで済む(据置期間)
返済計画を立て直し、効率よく資産を活用することで事業を再生できるでしょう。
保証料率の低減
コロナ借換保証の保証料率は、通常よりも低く設定される場合があります。
これにより、事業者は融資の負担をさらに軽減でき資金を事業再生・事業拡大のために活用できるでしょう。
- 事業主が返済できなくなったら、代わりに金融機関へ返済してくれる
- 金融機関も融資をしやすくなる
- 事業者が制度を利用する際の手続きや書類作成のサポートも行う
手続き面でもサポートしてくれるんですね!
事業主が融資を受ける上で、非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
コロナ借換保証の申請方法と手続き
続いて、コロナ借換保証の申請方法と手続きについて紹介していきます。
コロナ借換保証は国が主導している制度なので、やや手続きが煩雑である点は知っておきましょう。
- 必要書類の準備
- 申請手続きの流れ
- 注意点と審査基準
必要書類の準備
コロナ借換保証制度を利用するためには、まず必要書類を準備する必要があります。
必要書類は金融機関によって異なりますが、概ね下記の書類を用意しておくとスムーズです。
- 融資申込書
- 事業計画書
- 財務諸表(過去3年分)
- 税証明書
- 事業者証明書
必要となる書類は、金融機関や信用保証協会に異なります。
事前に確認しておくとスムーズです!
申請手続きの流れ
コロナ借換保証の申請手続きの流れは、以下の通りです。
- 金融機関や信用保証協会に相談し、コロナ借換保証制度の適用が可能かどうか確認
- 必要書類を揃え、金融機関に融資申込書を提出・経営行動計画書の提出
- 申込書と提出された書類の審査を経て融資の可否が決定
- 融資が承認された場合、信用保証協会に保証料の支払いを行い保証書を受け取る
- 金融機関による継続的な伴走支援を受ける
出典:中小企業庁
コロナ借換保証は国の制度なので、やや手続きは煩雑です。
注意点と審査基準
コロナ借換保証制度を利用する際の注意点として、下記の内容が挙げられます。
- 申請手続きや書類作成には時間がかかる
- 金融機関や信用保証協会とのコミュニケーションを大切にする
審査基準は金融機関や信用保証協会によって異なりますが、一般的には以下の要素が重要視されます。
- 事業者の信用状況
- 経営状況や財務状況
- 事業計画の適切性と実現可能性
- 返済能力の見込み
審査基準をクリアするためには、事業計画書を丁寧に作成し、金融機関や信用保証協会に対して事業の将来性や返済能力を明確にアピールすることが重要です。
市場調査や競合の分析などを行うことも重要ですね。
中小企業や個人事業主を支援する趣旨があるとはいえ、返済の見込みがなければ利用することは難しいでしょう。
コロナ借換保証で返済負担を軽減できた実例
実際に、コロナ借換保証制度による返済負担を軽減できた実例を紹介していきます。
多くの事業主がコロナ借換保証を活用して、事業を好転させています!
中小企業の事例
飲食業を営む中小企業は、新型コロナウイルスの影響で売上が大幅に減少し大打撃を受けました。
当然、経営が厳しくなり民間ゼロゼロ融資などを活用して生きながらえていましたが、返済が始まると苦境に陥ることが目に見えていました。
そこで、コロナ借換保証制度を利用して、
- 従来の借入金を新たな融資に借り換え
- 返済負担を軽減し
- 保証料率も低減でき
その結果、事業を立て直すことができました。
また、従業員の雇用維持や新たな事業展開を行う資産調達もでき、徐々に経営状況が改善されつつあります。
コロナで大打撃を受けた業界は、リバウンド消費に期待できますね!
リバウンド消費に対応するためにも、適切な事業資金を調達することが重要です。
個人事業主の事例
美容師の個人事業主は、新型コロナウイルスの影響で収入が激減しました。
コロナ借換保証制度を利用し、高金利の借入金を低金利の融資に借り換えることで返済負担が大幅に軽減されました。
さらに、信用保証協会のサポートを受けながら新たなビジネスモデルや経営改善策を策定し、徐々に事業が回復するに至っています。
このように、コロナ借換保証の制度を上手く活用すれば、経営が厳しい中でも新たな展開や成長を目指すことができます。
よくある質問
- コロナ借換保証で審査が通らなかったら、どうすればいいですか?
-
審査に落ちてしまった理由を把握し、ほかの金融機関で相談してみましょう。
それでも審査に落ちてしまう場合、コロナ借換保証ではなくファクタリングやビジネスローンで資金調達する方法があります。
特に、ファクタリングは借入金を増やすことなく最短即日で資金調達できるメリットがあります。
入念に資金計画を立てた上で、有効活用しましょう!
- コロナ借換保証は誰でも利用できますか?
-
公序良俗に反していなければ、所定の条件を満たすことで誰でも利用できます。
売り上げ減少などの条件が設けられているため、事前に金融機関で相談しておきましょう。
- コロナ借換保証の審査が落ちてしまった理由は何が考えられますか?
-
コロナ前から業績が振るわない企業や、業績改善の見込みが薄い企業は、審査に通らない可能性が高いです。
金融機関としては貸し倒れのリスクは避けたいため、返済能力に問題があると審査に落ちてしまうでしょう。
まとめ
コロナ借換保証を上手に活用することで、返済負担を減らし企業の資金を有効活用できます。
事業の再生や新しい領域への進出など、事業投資を行うことで本格的な脱コロナに向けて幸先のいいスタートを切れるでしょう。
コロナ借換融資を利用するには条件がある上に審査に通過する必要があるため、希望すれば必ず利用できるわけではありません。
コロナ借換保証が利用できなかったケースに備えて、ファクタリングやビジネスローンなどの活用も検討しながら業績回復を目指していきましょう。