男性の育児休業取得率の低さって、前々から話題だよね
育児休業を取得したいけど、うちの職場は人手不足だから取得できないかも
日本は少子化が進んでいますが、男性の育児休業取得率の低さも大きな要因です。
男性の育児休業取得率は高まりつつあるものの、平均取得日数は大きく伸びていません。女性の育児負担が重くなると第二子以降の子どもを産む余裕がなくなってしまいます。
男性が育児休業を取得しやすくなれば、少子化が改善する見込みがあるのはもちろん、会社としても優秀な人材の流出を防ぐことができるでしょう。
こちらの記事では、男性の育児休業取得率などの最新ニュースや、男性が育児休業を取得するメリットなどを解説していきます。
社労士や行政書士の資格を持ち、企業の労務コンサルタントなどを行っている私が詳しく解説します!
厚生労働省の「育休実態調査」141社の企業が回答
2023年4月から、大企業を中心に男性の育児休業の公表が義務付けられます。
先だって、厚生労働省が対象となる企業141社に対し実態調査を行いました。
- 男性の育休取得率は平均で76.9%
- 平均取得日数は40.7日
- 過去3年で取得率は大幅に上昇しているものの、取得日数に大きな変化はなし
- 職場全体で働き方改革を実施している企業は、そうでない企業に比べて男性育休の取得日数がおよそ2倍
政府は2030年までに日本全体の「男性の育児休業取得率%」を掲げていますが、2021年の取得率は14%にとどまっています。
岸田首相は少子化を反転させるために「産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取りの10割に引き上げる」などの政策の実施を示唆しています。
政府としても強い危機感を持っていることがわかるでしょう。
まだまだ男性の育休は浸透していないのか…
女性の育児負担が重くなってしまうと、第二子を産もうとする人も減ってしまいますよね。
男性が育休を取りたがらない理由
男性が育休を取得しない(できない)理由は、いくつか考えられます。
- 文化的原因
- 経済的原因
- 職場の理解不足・支援不足
日本の少子高齢化は深刻な状況にあります。まずは原因から探っていきましょう。
文化的原因
日本社会では、女性の社会進出や男女差別の解消が欧米各国ほど進んでいません。
男性が家族をよりも仕事を優先する文化的土壌があり、子育てのために気軽に仕事を休める環境が整備されていない企業も多いです。
また、そもそも慢性的な人員不足に悩まされている事業所の場合
育休を取りたいけど、雰囲気的に申請しづらいなぁ…
と感じる男性も少なくありません。
経済的原因
育児休業期間中は、一定の条件を満たせば育児休業給付金が支給されます。
- 180日目まで:休業開始時賃金日額×支給日数×67%
- 181日目以:休業開始時賃金日額×支給日数×50%
給料の50~67%となっており、満額が支給されるわけではありません。
休業前の給料が保証されないと、不安かも…
子育てには肉体的・精神的負担だけでなく経済的負担もあるので、大きな不安材料です。
休業前の給料で生活を送るのに精いっぱいの家庭にとって、収入の減少は死活問題です。
育休を取ることは家族にとって大きな経済的負担になる上に、将来のキャリアに悪影響を与えることを恐れた結果、
生涯年収も減りそうだし、育休は取得しなくていいかも
と考えてしまうのです。
職場の理解不足・支援不足
育休を取得したいなぁ
と考えていても、職場が育休に対して理解してくれないと取得しづらいでしょう。
人手が足りないから、休まれると困るなぁ
育児は母親に任せておけば良いんじゃないか?男は仕事してナンボだろ
など、育休に否定的な考えを持っている経営者は少なくありません。
このように、職場からの理解や支援が不足していると、男性の育休を妨げる大きな要因となります。
会社全体で育休を取得しやすくする取り組みが必要ですね!
育休の理解が不足していると、貴重な人材が流出してしまいます。会社にとっても痛手になるため、制度の整備は重要です。
男性が育休を取得するメリット
男性が育休を取得するメリットは多くあります。
- 家族の絆を強める
- 就労環境が良くなる
- 人材流出の防止
家庭だけでなく会社にとってもメリットがあるため、育休の推進は非常に有意義です。
家族の絆を強める
育休の最も大きなメリットの一つは、家族の絆が強まることです。
昭和や平成初期は
育児は女性の仕事
という価値観が一般的でした。
しかし、女性の育児負担が重くなると、
誰もサポートしてくれない
と感じ、夫婦仲が悪くなってしまう大きな要因になります。
男性が育休を取得することで、
- 男性が育児の大変さを実感できる
- 家族のコミュニケーションを深めることができる
- 女性の育児負担を減らせる
- 家庭内での役割分担がスムーズになる
などのメリットが期待できます。
夫婦仲がよければ、子どもの健全な発達にもつながりますよね!
その通りです!家族の絆を深めるためにも、男性の育児参加は非常に重要なのです!
就労環境が良くなる
男性の育休を促進することで、就労環境が良くなります。
男性が育児に積極的に参加し、周囲も育児に寛容的な態度をとることができれば
働きやすい!
と感じてもらえるでしょう。
人材流出の防止
就労環境が良くなれば、優秀な人材流出を防ぐことができます。
男性の育児休業の申請を却下するような職場だと、
じゃ、辞めます
と優秀な人材が離れてしまうリスクが大きくなるでしょう。
岸田首相も子育て支援・少子化対策について
- 出産育児の支援を投資と捉え、職場の雰囲気を抜本的に変えていくことが必要
- 男女ともに希望通り気兼ねなく育休制度を使えるようにしなければならない
と述べています。
優秀な人材をつなぎとめるためには、男性の育休取得を後押しすることが重要なんですね!
全員が働きやすいと感じる職場は、自然と優れた人材が集まってきます!
男性が育休を取得するための方法
男性の育休取得率を高めるためには、下記のような方法を実践することが効果的です。
- 育児参加の促進
- 環境の整備
職場の雰囲気作りは重要ですよね
実際に男性の育休取得者が増えれば、気兼ねなく取得できるようになります!
育児参加の促進
男性が育休を取るためには、会社全体で育児参加を促進する取り組みを行う必要があります。
育休?ぜひ取りなよ!いない間の仕事が回るように、引継ぎだけ頼むね!
育休取得するパパって素敵だと思う!
のように、男性が育休に対してポジティブになれるような雰囲気の醸成が効果的です。
父親が育児に参加することが当たり前となるように、職場全体でサポートすることが重要と言えるでしょう。
環境の整備
男性が育休を取りやすくするためには、気兼ねなく育休が取得できるような環境づくりが必要です。
- 十分な人員の確保
- 労働生産性の向上
- 効果的な設備投資
- 適材適所の人材配置
育休を取るためには、職場の協力が欠かせません。
人手不足による会社活動の停滞が起こらないように環境を整備することは、経営者の義務と言っても過言ではありません。
労働生産性を向上させ、設備投資を行うための資金を確保する方法としてファクタリングやビジネスローンの活用が挙げられます。
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男性の育休に関するよくある質問
最後に、男性の育休に関するよくある質問を紹介していきます。
- 育休を取ることでキャリアに悪影響が出ますか?
-
法令上、育児休業を取得した労働者に不利益を与えることは許されません。
しかし、育休取得をすることで
- ブランクが生じる
- 職場全員が快く思っているとは限らない
など、キャリアに悪影響を及ぼす可能性はゼロではありません。
将来のキャリアを見据え、職場の理解を得ることで、キャリアに悪影響を与えずに済むでしょう。
- 育休を取得するためには、どのくらい前に申請する必要がありますか?
-
育休を取得するためには、原則として1カ月前までに職場へ申請する必要があります。
ただし、事情により申請期限が過ぎた場合でも柔軟に対応してくれるケースがほとんどです。
できるだけ早い段階から職場に伝えることで、引継ぎなどもスムーズになりますよ!
- 育休を取得した場合でも、ボーナスは支給されるのでしょうか?
-
育休を取得した場合でも、ボーナスは支給されることが一般的です。
ただし、育児休業期間中の賃金を減額するなど、支給のルールは会社の裁量によります。
できるだけ経済的な支援を行うことも大切ですね!
働いている人たちとのバランスを考慮しつつ、育休取得者のサポートも行いましょう!
- 育休を取得すると退職金が減るのでしょうか?
-
育休期間が給与計算期間として含まない場合、退職金が減ることがあります。
ボーナスと同様に、会社の給与規定によって異なるため事前に確認しましょう。
まとめ
男性の育休取得率を上げることは、家庭や社会全体の利益につながります。
また、企業としても魅力的な職場環境を作ることで
- 社員満足度を高める
- 優秀な人材を確保する
- 優秀な人材を迎え入れる
などのメリットが期待できます。
現状、男性が育休を取得しづらい環境や文化的土壌があるのは確かです。
深刻な少子化を食い止めるためには、会社だけでなく社会全体で育児参加の理解を深めることが重要です。
人材の確保や事業投資を通じて魅力的な職場環境を作っていきます!
男性も女性も安心して働けるような職場環境を作っていきましょう!