日本の最低賃金って低い話をよく聞くけど、実際どうなんだろう
最低賃金が上がるのは良いけど、企業にとっては負担が重くなるよなぁ
このような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
OECD(経済協力開発機構)による2021年の平均賃金調査では、日本の平均賃金はOECD38カ国中で24位でした。
日本は先進国の中で給与水準が低い中で、岸田首相は「2023年に最低賃金1,000円」を目指す旨のコメントをして注目を集めています。
最低賃金が上昇すると企業の人件費負担が重くなるため、事業主の方は適切な対策を取ることが重要です。
今回は、日本の最低賃金や事業主が意識するべきポイントなどを解説していきます。
FP1級や社労士資格を持ち、実際に会社の労務コンサルタントを行っている私がわかりやすく解説します!
2023年に最低賃金1,000円を目指す意向
岸田首相は、最低賃金の全国加重平均を2022年の961円から23年に1,000円へ上げる目標を示しました。
また、
地域間格差の是正も必要
と強調し、全国レベルで最低賃金を引き上げたい考えです。
2022年の改定では前年から「31円アップ」という過去最大の上げ幅となりましたが、さらに消費者の収入を増やして景気を刺激する意図もあるようです。
収入が増えないと消費に回るお金が減ってしまいますからね…
企業が儲かる→社員に還元される→消費が増えることで、景気の好循環を生み出すことができます。
最低賃金とは
最低賃金とは、雇用者が労働者に支払う最低賃金額です。労働者が得る最低の報酬水準を保障することを目的に設定されており、日本では時給で定められています。
最低賃金は最低賃金法に基づいて、都道府県ごとに設定されています。
地方部よりも都市部の方が最低賃金は高いんですね!
前回の改定では、最高は東京の1,072円で最低は青森や秋田など853円でした。
最低賃金引き上げの意義
岸田首相は、最低賃金を引き上げることによって低所得者の生活改善や消費の拡大を促進したい考えです。
労働者の働くモチベーションが高まれば労働力の確保につながり、労働者人口の減少に伴う人手不足を解消できる可能性があります。
最低賃金の引き上げは企業間の競争力の強化にもつながり、企業成長にもつながるメリットが期待できるでしょう。
日本は少子高齢化が進んでおり労働力不足などの課題が多くあります。リタイア後に仕事を探している高齢者などが働いてくれれば、社会保険料収入が増える上に消費の拡大が見込めます。
労働者だけでなく、社会全体にメリットがあるんですね!
特に、最近は年金制度に対する不安が高まっているので「働きたい」と考えている高齢者は増えています。
最低賃金を引き上げるメリット
最低賃金を引き上げるメリットは多くあります。
- 経済を活性化できる
- 所得格差が縮まる
- 労働者人口が増える
事業主の方にとって、人材を確保して収益力を高める好機となります!
経済を活性化できる
最低賃金の引き上げによって、労働者の収入が増加して消費の拡大が期待できます。
地方経済や小売業など、消費に依存する産業が活性化することで社会全体に活気を取り戻すこともできるでしょう。
- 労働者の収入が増える
- 自由に使えるお金が増える
- 消費にお回るお金が増える
- 企業が儲かる
- 利益が社員に還元される
- さらに消費が活性化する
日本は「物価が上がらない国」と言われることもありますもんね。
賃金だけが理由ではありませんが、消費に回るお金が少ないと経済全体が減速してしまうのです…
所得格差が縮まる
最低賃金の引き上げは、正社員と非正規労働者の所得格差を縮める効果が期待できます。
最低賃⾦が上がると、パートや派遣労働者などの⾮正規労働者の⼿取りが増え、正社員と⾮正規社員の⽣涯賃⾦の格差を縮めることができます。
これにより、非正規社員の仕事に対するモチベーションが高まるでしょう。
労働者人口が増える
最低賃金が上昇すると、労働参加の意欲が高まります。子育てが一段落した専業主婦の方や、定年退職後に悠々自適な生活を送っていた高齢者などの社会参加が期待できるためです。
特に、下記の人手不足の業界にとって働き手の増加は朗報です。
- 建設業
- 介護福祉
- 運送業
- 小売業
- 看護
人手を採用するためには、職を探している人に
就職したい!
と思わせる必要があります。
賃金以外の要素で人を集めるためにはどうすれば良いんだろう?
働きやすい環境作りを行うことが大切です。手元の資金が不足している場合は、ファクタリングやビジネスローンの利用が有効な手段となります。
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最低賃金を引き上げるデメリット
最低賃金を引き上げるデメリットとしては下記が挙げられます。
- 企業の負担する人件費が増える
- 正規雇用の減少・非正規雇用の失業が増える
企業の負担する人件費が増える
最低賃金の引き上げが行われると、企業の人件費負担が増えます。
特に、飲⾷業や小売業などの営業利益率が低い業界では、コストを抑えるためにベースとなる給料を抑える企業が多いです。
しかし、最低賃金が引き上げられると⼈件費が⼤きく増加し、企業の収益を圧迫してしまいます。
営業利益率を高める工夫をすれば、デメリットを軽減できますね!
その通りです。コスト削減だけでなく、生産性を高めるための事業投資も重要です。
正規雇用の減少・非正規雇用の失業が増える
最低賃金の引き上げは企業の人件費アップとなり、結果的に人件費削減のために正規雇用を非正規雇用に置き換えようとする動きが出るデメリットがあります。
また、そもそも労働力をパートやアルバイトなどの非正規労働者に依存している企業は、最低賃⾦の上昇に伴って
人員を削減しよう
と動く可能性があります。
人件費の底上げが難しい企業にとって、最低賃金の引き上げは
- 正社員数の減少
- 正社員の業務負担増加
- 雇用の減少
などを引き起こすデメリットがあると言えるでしょう。
今後、ますます最低賃金の水準は上昇するでしょう。社員の満足度を高めるためにも、最低賃金の対応する方法を知っておきましょう。
事業主が最低賃金の引き上げに対応する方法
最低賃金の引き上げは、事業主にとって大きな影響を与えることがあります。
最低賃金の引き上げで
人件費の負担が重いなぁ
と感じている場合、社員のスキル向上と労働時間の短縮を図ることが重要です。
また、残業の縮減を推進し労働時間を短縮できれば、トータルで人件費の負担を軽減できるでしょう。
端的に言えば、コスト以上の成果を出せば最低賃金の引き上げは関係ありません。
- 提供するサービスの価値を高める
- 外部コンサルタントを招聘する
- 設備投資を行い業務を効率化する
- 一部業務を外注化する
上記のように、生産性を向上させれば増加した人件費以上の利益を得られるようになるでしょう。
事業設備をするための資金を確保する方法として、ファクタリングやビジネスローンの利用があります。
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最低賃金の引き上げに関するよくある質問
- 最低賃金引き上げによって失業者が増える可能性はありますか?
-
最低賃金の引き上げによって、企業の人件費負担が上昇するため、人員カットが行われる可能性があります。
しかし、消費の拡大や生産性の向上をすることで雇用を増やす企業もあります。
事業投資に積極的かどうかで、大きな差が出ると言えるでしょう。
- 最低賃金引き上げはいつ行われますか?
-
最低賃金は、毎年10月1日に引き上げられます。
最低賃金は今後も上昇することが見込まれるため、事業主はしっかりと備えておくことが重要です。
- 最低賃金引き上げによってメリットはありますか?
-
労働者の収入増加に伴って、経済活動が活発化するメリットが期待できます。
消費に回るお金が増えれば消費の拡大が期待できるため、日本全体の経済が活発になるでしょう。
賃金水準の引き上げは景気に大きく影響するんですね!
賃金水準が高い企業は、優秀な人も集まりやすくなるメリットもあります。人手不足に悩んでいる事業主の方は、魅力的な職場づくりを進めてみてください。
まとめ
岸田首相は最低賃金の引き上げを推進する考えを示しましたが、これにより労働者の生活改善や消費の拡大などのメリットが期待できます。
最低賃金の引き上げは、労働者だけでなく社会全体に良い影響をもたらしてくれるでしょう。
また、経営者の方も最低賃金の引き上げに合わせて魅力的な職場環境の構築を進めることで、魅力的な人材を確保できるメリットが期待できます。
優秀な人材を確保し、収益力や利益率を高めるためには事業への投資が不可欠です。
職場環境を良くしたいけど、手元の資金が心もとない…
という事業主の方は、ビジネスローニャファクタリングの活用を検討してみてください。即日で資金を融資してくれる会社もあるため、スムーズに資金を用意したい事業主の方へおすすめです。