シリコンバレー銀行の経営破綻がニュースになってるけど、大丈夫なのかな?
リーマンショックみたいに市場が混乱したらどうしよう…
このような疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
アメリカのシリコンバレー銀行が経営破綻したニュースが話題です。シリコンバレー銀行とは、シリコンバレーのスタートアップ企業やベンチャー企業を支援する銀行です。
3月10日に経営破綻が発表されたことで、アメリカの金融業界では不安が高まっています。日本にも影響は波及し、3月13日と14日の日経平均株価は大きく下落しており不安を持っている方も多いでしょう。
今回は、経営者のホリエモンも注目しているシリコンバレー銀行破綻のニュースについて見ていきましょう。
FP1級や証券外務員一種を保有している私が、専門的な知見から解説していきます。
シリコンバレーバンク銀行の経営破綻について
3月10日に、アメリカのシリコンバレー銀行の経営破綻が発表されました。アメリカ国内では有名な地方銀行で、経営破綻を受けてアメリカでは
またリーマンショック級の経済ショックが来るかも…
という不安が広がっています。
本来、預金保護の対象となるのは25万ドルまでです。しかし、アメリカ財務省は金融不安を払しょくするために「すべての預金者を保護する形で、シリコンバレーバンクの破綻処理を完了する措置を承認した」という声明を発表しました。
これにより、本来であれば保護の対象外だった預金も救済されることになります。
しかし、シリコンバレー銀行の株式を購入している投資家や劣後ローンの保有者は残念ながら保護されません。あくまでも、今回例外的に救済されるのは「預金者のみ」です。
経営破綻のニュースが出た直後は混乱が起きましたが、財務省の発表を受けて落ち着きを取り戻しました。
実際に、シリコンバレー銀行は3月13日に店舗の営業再開し、預金の引き出しに応じています。
シリコンバレー銀行とは?
シリコンバレー銀行とは、アメリカのシリコンバレーに本拠地を置く銀行です。
主にシリコンバレーのスタートアップ企業やベンチャー企業に対して、融資や企業向けのサービスを提供しています。
シリコンバレー銀行は、ベンチャー企業から非常に厚い信頼を受けていました。
シリコンバレー銀行の歴史と現在の状況
シリコンバレー銀行は、シリコンバレーのスタートアップ企業やテクノロジー企業の成長を支援しています。
具体的には
- スタートアップ企業に対して資金調達の支援
- 投資家とのコネクションの提供
- M&Aに関するアドバイス
- 最新のオンラインバンキングやモバイルバンキングなどのサービスの提供
などを行っていました。
ビジネスの支援に積極的な銀行だったんですね…
多くの企業から信頼されていた銀行で、経営破綻の一報が流れたときは衝撃的でした。
シリコンバレー銀行が支援する企業や顧客の例
シリコンバレー銀行の顧客は様々です。
- Uber
- Fitbit
- Dropbox
- 投資家
- 起業家
シリコンバレー銀行はスタートアップ企業やベンチャー企業のサポートを行っており、UberのIPOやFitbitの買収においても重要な役割を果たしていました。
また、日本ではあおぞら銀行がシリコンバレー銀行関連の投資ファンドである「SVBキャピタル」と提携したことが注目されていました。
このように、シリコンバレー銀行と関係がある有名企業は多いことも、今回のニュースが注目される大きな要因です。
今回破綻したシリコンバレー銀行は預金残高16位の規模を誇るため、私も衝撃を受けました。
シリコンバレーバンクの経営破綻はなぜ起きたのか
企業や投資家からの信頼が厚かったシリコンバレー銀行は、なぜ経営破綻してしまったのでしょうか?
新型コロナウイルスやFRBによる利上げなどが影響しており、複雑な要因が絡まった末に経営破綻に至りました。
背景や理由を詳しく見ていきましょう。
新型コロナと利上げの影響
新型コロナウイルスが蔓延していた頃、FRBは景気の冷え込みを防ぐために金融緩和を行いました。
市場にお金を流通させたことでスタートアップ企業は資金調達を拡大し、資金の余ったスタートアップ企業はシリコンバレー銀行に預金するようになります。
しかし、脱コロナの動きが進み「コロナ特需」が終わったことでスタートアップ企業の融資需要が減り、シリコンバレー銀行は融資先を失ってしまいます。
シリコンバレー銀行は資金を住宅ローン担保証券(MBS)やアメリカ国債などで運用していた中で、FRBによる利上げが行われます。利上げによる金利上昇に伴ってシリコンバレー銀行は保有する債券価格が下落し、含み損が拡大してしまいました。
金利が上昇すると債券価格は下落します。つまり、シリコンバレー銀行は損失を被りました。
増資と株価の下落
債券の含み損によって債務超過の状態にあったシリコンバレー銀行は、3月8日に増資計画を発表します。
増資計画の発表により
シリコンバレー銀行の経営は危ないんじゃないか?
という憶測が広がり、3月9日には株価が60%以上も下落する事態となってしまいました。
9日~10日に多額の預金が引き出されたことで、すぐにシリコンバレー銀行の資金繰りが行き詰まり経営破綻に至ってしまったとみられています。
シリコンバレーバンク銀行の経営破綻に関するよくある質問
- アメリカで今後どのような動きがあるとみられている?
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「金融システム全体に波及する可能性は低い」と見る識者が多いです。
しかし、シリコンバレー銀行から資金を取り戻せない場合、多くのベンチャー企業が景気減速を乗り切れずに倒産してしまうリスクがあります。
先行きを見通すのは難しいことから、最新のニュースをチェックすることが重要です。
- 日本にはどのような影響がある?
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鈴木金融相は「現時点では今回の破綻が日本の金融システムの安定に重大な影響を及ぼす可能性は低いと考えている」と述べています。
また、後藤経済再生相も「現時点では今回の破綻それ自体が日本経済に大きな影響を及ぼすとは想定していない」と述べています。
現状、日本経済に大きな影響を与える可能性は低いと言えるでしょう。
- なぜシリコンバレー銀行は破綻したの?
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直接的な原因となったのは、利上げに伴う債券価格の下落です。
債券価格が下落したことでシリコンバレー銀行の財務状況が悪化し、増資を迫られました。しかし、増資を発表したことで投資家からの信用不安を呼び、大量の預金が引き出される結果を招いてしまいました。
まとめ
シリコンバレー銀行破綻のニュースは、アメリカや日本に大きな衝撃を与えました。
リーマンショック級の不景気の到来を危惧する声もありますが、アメリカ政府が素早く預金保護に動いたことで、経済は落ち着きを取り戻しています。
また、日本では大幅な利上げが行われていないことから、多少の影響はあるとはいえ大規模な経済ショックが起こるリスクは低いでしょう。
今後の新しいニュースに注目しつつ、冷静に経営判断や投資判断をすることが大切です。